くらげごはん。

くだくらげの食と料理の記憶をつづる

箱入娘

f:id:kudakurage:20121206140030j:plain

外見はいたって普通のみかんですが、中の果実は色からして真っ赤に濃厚そうです。とうぶん普通のみかんは食べられません。

青果売り場の日々

学生の頃、家の近くのイトーヨーカドーで二年ぐらいかアルバイトをしていました。食品売り場の青果コーナーで野菜や果物、花などをあつかっていました。水回りの職場なのでほかよりも少し時給が高かったですし、何より食品に関して学びたかったというのもあってよかったです。野菜の種類もそうですが良い野菜の見極め方や下処理の仕方、それからお客さんにもときどき聞かれる調理の仕方なんかも学んだりしました。とくに珍しい野菜などは調理の仕方を聞かれることが多くて、できるだけ勉強するようにしていましたね。まずまず長く務めていましたし、夏休みなども結構な頻度で出勤していたので、野菜の発注をやらせてもらえたりと本当に勉強になりました。

廃棄になりそうなものや新しい品があると試食してみたりできたのも非常に良い経験でした。「これも勉強だ」と社員さんにもらったりしていろいろな野菜や果物を試食しましたよ。夏になると梨がおいしい季節になってきて、傷んでいる梨をみつけては作業場の冷蔵庫に入れておくんですね。それで仕事の合間を見てよーく冷えた梨を食べるのがものすごくおいしくて、夏ですし完熟の甘くて水々しい梨がたのしみなこともありました。梨の品種もたくさんあるので食べ比べたりということもしょっちゅうでした。

食べ比べといえばみかんの食べ比べもよくしたものです。蒲郡みかん、有田みかん、三ヶ日みかん、青島みかんなどなどいろいろありましたが、それぞれに違う印象でした。こういう食べ比べみたいなことは、そうそうできることではないので良い勉強になりました。そんなみかんの中でもこれが一番だというものが「箱入娘」です。箱入娘は蒲郡みかんのブランド品種で主に贈答用などに用いられるみかんです。収穫されるシーズンに合わせてお歳暮商品として出荷されるので箱売りが基本で、バイト先でも一度取り扱うことがあってその時に少しいただきました。箱入娘はただ単に甘いというみかんではなくて、みかんの味が濃縮されている上に甘い点が素晴らしいところです。一房々々食べる度に、まるで濃厚なジュースを飲んでいるかのような味わいなのです。出荷シーズンは短いのですが、暮れにお世話になった人に「箱入娘」を贈ってみてはいかがでしょう。私の場合は食いしん坊なので一箱自宅に送ってもらって自分も楽しみつつ、それをお世話になった人に少しずつ分けて贈っていますが、それでもいいでしょう。